逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

境界性人格障害⑮-空っぽの自分-

ボーダーが治るまで

私は自分がどんな人間か分かりませんでした。

 

いつも瞬時に
目の前の人の望む人間像をとらえ

 

頼りがいを出したり
おどけてみたり
おとなしくしたり
女らしくしたりした。

 

一瞬も気を抜けず

 

つねに
目の前の人間の反応をじっと伺う。

 

喜んでくれた。
これでいいんだ。

 

笑顔が減った。
何かがいけない。

 

不満そう。
もっと頑張らなきゃ。

 

こんなふうに
尋常ではない努力を休まずに続けていました。

 


自分がどう考えるとか
自分がどう感じるとか
そんなものは一切なくて

 

自分が楽しむことも学ぶことも無く
自分がまるで何も経験していないようでした。

 


ただただ
目の前の人の望みを叶えるためだけに生きている。

 

ずっと
目の前の人にもてあそばれる人形のような感覚でした。

 

 

それだけではありません。

 

 

 

<愛着障害の人が人の気持ちばかりを考えてしまう理由>

 

<親しい人に怒りや不満を持つことができない理由>

 

<愛着障害の人は空気を読みすぎる>

 

 

この記事にあるように

 

 

自分が大変な時でも

つらそうな人がいればその人のつらさに寄り添い

大変な人がいればその人を助け

弱い人がいれば自分が守ろうと盾になりました。

 

 

慣れ親しんだ人と離れたくない気持ちが強すぎて

孤独が怖すぎて

相手に不満でもどんなに理不尽な目にあっても

我慢に我慢を重ねました。

 

 

どこにいても誰といても

その場にいる人の機嫌をとる責任は自分にあると思って

誰もが不快な思いをしないよう、喜んでくれるよう

仕事、サービスをし続けました。

 

 

そうやって

気がつかないうちに

いつも自分の気持ちをないがしろにし続けたんです。

 

自分のつらさも感じられない

自分の喜びも感じられない

自分の頑張りは感謝されなくても当たり前

自分の不満もわからない

 

 

自分はどんどん空っぽになっていきました。

 


だから
ボーダーは
自分が無い、空虚、中身が無いと言われるんですね。

 

このように生きていたら当たり前ですよね。

 

ただただ

人に自分を捧げて生きてきたのに

空っぽなことを何の面白みもない、無能、無価値…

そんな扱いをされるんです。

 

虚しいですね。

 

 


ボーダーの行動は
人を苦しめ振り回し
加害者と言われるのは当たり前です。

 

でも
無意識に反射的に
これだけ自分を無くして

人のために尽くしてしまうことの空しさはどれだけのものか。

 

 

そして
加害的な振る舞いは
虐待や機能不全の家庭で苦しみつづけ

そこから形成されたものです。

 

 

ずっとつらい思いをしてきて
さらに
自分を無くして生き、人に忌み嫌われる。

 

 

私はこれがボーダーの本当の姿だと思っています。

 

 


ボーダーの行動は許してはいけない。

ボーダーはまだ良い人間として生きられない。

 

でも
頭のおかしい人間でもなければ
ずっとわがままに好き勝手に生きてきたわけではない。

同情はいりませんが

このことは分かっていてほしいんです。

 

 


そしてボーダー側も

 

私は空っぽな人間だとおとしめちゃいけない。
これだけやってきたことを思い返してほしい。

 

でも悪い行動を正当化しちゃいけない。

 

 

これだけずっと
つらい思いしかしてきてないからこそ

何とかして
良い行動が出来る自分を作っていかなければいけないんです。

 

 

私たちは
たった10数年の出来事の呪いにかかっている。
大変な呪いです。


でも

人生はその何倍も長いんです。

 

これから自分を作って、自分のために生きていかないといけないんです。

 

 

 

 

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