逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

正しいことばかりでは心は育たない


世の中には「正しいこと」が溢れています。

 


みなさん

 

その世の中の「正しいこと」を完璧にしようと
毎日必死に努力をしていますよね。

 

みなさん本当に努力家のように見えます。

 

 

 

ちょっと皆さんにお聞きしたいんです。

 

その「正しいこと」をやる理由はなんですか?

 

 

 


良い人間になりたいから?

 

自分自身を向上させたいから?

 

 

 

果たして

 

世の中の「正しいこと」を完璧にやることで

 

本当に良い人間になるんでしょうか?
自分は向上できるのでしょうか?

 

 

 

私はこのことが
今の時代では逆効果になっていると思っているんです。

 

 

 

想像してみてください。

 


子どもの時は

 

毎日友人と元気に遊んだり
自分の興味のあることに熱中して打ち込んだり
自分のことばかり考えて
沢山の経験をして自分なりに感じて考えて学んでいく時期ですね。

 


そんな時期に

 

「遊んでる暇など無い。やらなければならないことがあるんだから」
「その感覚や考えや行動は間違っている。こうするべきだ」

 

こう言われ続けたらどうなるでしょうか。

 

 

 

遊ぶことや楽しむことを身につけることが出来ないまま
何かに熱中することを経験しないまま
自分で試行錯誤して失敗することを経験しないまま

 

ただ言われた「正しいこと」を実行するようになってしまうでしょう。

 


自分で感じて考えて行動する力をつけることの無いまま
自分を成長させることなんて出来るのでしょうか。

 

このまま努力を続けても
目の前の人や社会が求める
「正しいこと」に従う能力だけが伸びていくだけでは無いでしょうか。

 

 

 

十分に遊び、熱中し、自分で試行錯誤して沢山の失敗をした人が

 

大人になってからやっと
自分で試行錯誤して作り上げた「正しいこと」を出来るようになる。

 

私はこれが心の自然な成長だと思っています。

 

 

 


アダルトチルドレンという概念があります。

 


機能不全の家庭で育ち
子ども時代を子どもとして過ごすことが出来なかった人のことを指しています。

 


このような人たちは

 

先ほどお話ししたように

 

自分で感じて考えて行動する力をつける機会を与えられないまま
目の前の人の「正しいこと」に従う能力だけを伸ばされていき
心が成長出来ないままになってしまったのです。

 


子どもらしく生きる経験をしないまま
心を成長させてもらえないまま
大人として生きていかなければいけないところに
生きづらさがあるんです。

 

 

 


現代の人の心の病の原因は

 

機能不全の家庭で育ったわけではなくても
このアダルトチルドレンのような状態に陥っていることにあるのではないでしょうか。

 

 

 

まるで厳しいしつけをする親のように
社会全体が

 

「こうするべき」
「正しいことをしなければならない」
「失敗は許されない」
「間違ったら厳しく罰しなければならない」

 

こんな空気になっているからです。

 


親に厳しくされなくても
こんな社会の空気の中で育ってきたとしたら

 

アダルトチルドレンのようになってしまう可能性はあります。

 

 

 

機能不全の家庭で育ってきたアダルトチルドレンの人も
厳しい社会で育ってきたアダルトチルドレンのような人も

 

今のこの厳しい社会の中で
いきなり自分らしく生きるなんて難しいでしょう。

 

子どもらしく過ごす時間が短かったせいで
大人になりきれていなくても
年齢相応の大人としての振る舞いを求められるのは
相当のプレッシャーがあるでしょう。

 


育ちきらなかった子どもの心で
社会を生きるというのは本当に不安です。

 

そのため
いつも誰かに甘えたいという気持ちになってしまいます。

 


つい友達や恋人を親代わりにしてしまいますが

 

友達や恋人は
対等の関係でいなければならない相手ですから
人間関係が長続きしません。

 

 

 

頼りになる人を探して甘えたくなりますが

 

今の社会では
みんなが自分自身のことにいっぱいで
親代わりに甘えさせてもらえません。

 

 

 

今の時代では
大人になってしまったら
育て直してもらう機会は中々ありません。

 


昔であれば
近所の面倒見のいい大人や
就職先の上司などとの出会いで
自然と心が育つ機会がありました。

 


社会全体が余裕がないせいで
育ちきらなかった心を育てる機会に恵まれないまま
多くの人がアダルトチルドレンのままで
人生を過ごしていくことになってしまっているんですね。

 

 

 

それなのに
冒頭でお話したように

 

みなさんは
さらに世の中の「正しいこと」を自分に課して
どんどん苦しめているんです。

 

 

 

心が育ちきらないまま
社会で頑張っていること

 

誰かに理解して助けて欲しいですね。

 


でも本当に残念ですが

 

今の社会では
人に理解してもらうのは難しいですね。

 

この厳しい社会では
みんなが自分のことだけで精一杯ですから。

 

 

 

ですが
まだ自分で出来ることはあります。

 

ゆっくりでも
自分で自分の子どもの心を育てることは出来るんです。

 

 

 

まずは

 

自分は仕事上の立場では尊敬されていても
外面ではしっかりして見られていても
今まだ子どもの心を持っているということを認めましょう。

 


子どもの心は
衝動的で、感情的で、自己中心的です。

 

感じたまま考えたまま、それを言葉に出してしまうと

 

「偏見を持っている」
「感情的で変な人」
「自己中心的でわがまま」

 

こう見られてしまいます。

 

本当は子どもなだけなのですが
大人の年齢であるあなたの言動は全て
人格に結びつけられて評価されてしまうんです。

 

 

 

だから
自分自身だけは
しっかりと

 

「子どもだからこんな感情や考えを持っているんだ」
と自分を理解していきましょう。

 


そして
子どもの気持ちを認めて十分に心の中で発散して
時間をおいて冷静になったら

 

改めて大人として
物事を捉え直すようにしてみてください。

 

 

 


世の中の「正しいこと」に従おうとしていては
子どもの心はいつまでも育ちません。

 

大人になるためには
いきなり
子どもっぽい言動を叱りつけて分別を持たせても無駄です。

 

まずは
子どもの心の言い分を否定せず
しっかりと認めて発散してから

 

大人として考えてみる。

 


このように段階を踏んで少しずつ
自分の子どもの心を育てていきましょうね。

 


自分で沢山感じて考えて行動して
試行錯誤して自分の「正しいこと」を作り上げて
自然に心を成長させていきましょうね。

 

 

 

 

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