逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ちゃこ鼻腔腫瘍⑦

 

 

11月11日

 

川崎の病院でお願いしました。

 

ちゃこの状態で
それを止められることはありませんでした。

 

 

 

朝から
これまで感じたことのない感情が押し寄せてきます。

 

自分の手でちゃこの命を奪うということ。
ちゃこと本当に今日お別れすること。

 

分かっていても
どうしようもない気持ちがある。

 

 

 

夜まで時間があります。

 


仕事は休み

 

最期に点滴に向かいます。

 


意味はあまりないかもしれませんが
夜まででも
少しでも楽になるかと思ったからです。

 

 

 

ちゃこのために
友人が二人
仕事後に来てくれました。

 

二人は初対面ですが
ちゃこのために立ち会いたいと言ってくれました。

 

 

 

川崎の病院に向かうまで
動悸が止まりません。

 

本当に今日でお別れ。

 


今ならやめられる。

 


でもちゃこは苦しいだけだ。

 

 

 

緊張したまま
いつのまにか病院に着いて

 


ちゃこは連れて行かれました。

 

 

 

次に会ったときは
薬剤を投与する管がついていました。

 

 

 

お別れまでの時間をもらいました。

 

 

 

多分
私は生きてきて
一番の恐怖と悲しみを感じました。

 

言葉にしてみたけれど
本当は言葉になりません。

 

ただ感じたことのない強い感情に
正気でいられないような感覚でした

 


これまで
沢山の壮絶な体験をしてきた私も
とても耐えられない気持ちでした。

 

震えが止まりません。

 


友人に抱きついて号泣しました。

 

 

 

震えが止まらないまま
ちゃこをなで続け

 

「大丈夫だよ」
「よく頑張ったね」
「頑張らせてごめんね」
「やっと気持ち悪くなくなるからね」

 

ずっとそう言っていたと思います。

 

 

 

先生がやってきます。

 


「この薬剤を投与したら意識がなくなります。」
「次の薬剤で心肺が停止します。」

 

 

 

薬剤が投与されます。

 


ちゃこは私を見ています。

 

私はちゃこのすぐ目の前で

 

必死にキスをしたり撫でたりしながら
「良い子だね」
「もう大丈夫だよ」

 

変わらず
ずっと繰り返しそう言っていたように思います。

 

 

 

ちゃこの目がゆっくりと閉じました。

 

 

 

その瞬間
私は腰が抜けるような
強い感情が押し寄せました。

 

一年経った今でも
この場面を度々思い出して
震えてしまいます。

 

 

 

生まれて初めて
大声をあげて泣きました。

 

自分がそんなことをするとは思いませんでしたが
理性が飛んでしまいました。

 

 

 

先生も泣きながら
「この選択は間違ってなかったと思います。ちゃこちゃん、楽になりましたね」

 

最期にそう言ってくれました。

 


少ししかお世話になれなかったのに
泣いてくれた先生に伝えたくて

 


「短い間ですが本当にありがとうございました。こんな嫌なことを引き受けてくださってありがとうございました。」

 

それだけを言うことが出来ました。

 

 

 

帰りの車も声をあげて泣き続けました。

 

友人たちも悲しいのに
泣くのを我慢をして
一時間、運転をしてくれました。

 


このとき
私は自分のことしか考えられませんでした。
友人たちだって
ちゃことの思い出はたくさんあって辛かったはずなのに
気丈に振る舞ってくれていたんですね。

 

 

 

家に帰って
「やっとうちに帰ってきたよ」
「もこちゃんもいるよ」
と言いながら

 

なんとなく
家中を見せて回りました。

 

しばらく自由に
ウロウロできなかったからかもしれません。

 

 

 

そして
いつものソファのベッドに寝かせました。

 

安らかな顔で
まるで眠っているようでした。

 


遺体を怖いと思っていたけど
本当に眠っているようで
撫でながらいつものように話しかけました。

 


この日は
子猫の頃から
ちゃこの面倒を沢山見てくれていた
友人が泊まってくれて

 

なんだか昔を思い出すねと言いながらちゃこを見ていました。

 

 

 

壮絶な一ヶ月半で
久し振りにちゃこのゆったり眠っている姿を見られて
嬉しかった。

 

こんな姿がずっと見られなかったんです。

 

本当に可愛い寝顔です。
ひさしぶり。

 


このときは
亡くなった悲しみより
ちゃこの苦しみが終わったこと
久しぶりに眠っているような安らかな顔が見れたことが嬉しかった。

 

 

 

次の日
遺体は早く燃やさなければいけないと思いこんでいましたが
業者が見つからず
夜になりました。

 


これが結果的に
私にはすごく良いことだったんです。

 


遺体はもう怖くありませんでした。
硬直は始まっているものの
何か汚れることもなく
寝ているちゃことゆっくり過ごしているようでした。

 


驚く行為だと思いますが
友人が私が寝ている横にちゃこを寝かせました。

 

腕枕をしました。

 

 

 

ちゃこは私の腕枕で眠る子でした。

 

なつかしいなぁ。
これが叶うなんて嬉しいなぁ。
って涙が止まりませんでした。

 


この日は一日中
闘病前のように
友人とリラックスしながら
ちゃこを撫でて話しかけながら過ごしました。

 


この時間がなんともいえず幸せでした。
本当に最高に幸せだった。

 


癌が発覚してから
ちゃこの幸せな姿を一度も見られないままお別れでした。

 

あの幸せな時間を
一瞬も取り戻せないまま急激に悪化してしまった。

 

そんなことが悔しかった。

 


亡くなってはいても
まるで眠っているかのような安らかな顔のちゃこと
一日をゆっくり過ごせたことが

 

私にとって本当に幸せで
この一ヶ月半の苦しみが癒されるようでした。

 

 

 

そして
火葬の時間がやってきました。

 


これがまた苦しいんです。

 


亡くなった瞬間
火葬する瞬間

 

二度強い苦しみがやってきました。

 

 

 

このふわふわの体がなくなる

 

この安らかな顔が見られなくなる

 

この可愛いお口
肉球
なくなってしまう

 

 

 

でも仕方がありません。

 

 

 

終わった後

 

遺骨を見たときのショックは大きかった。

 

さっきまでのちゃこがいなくなったことを実感して
驚いて
私は感情を塞いだ気がします。

 


あぁ本当にいなくなったんだと
どこか他人事のように感じました。

 

 

 


ちゃこには感謝がいっぱいです。

 

 

 

家族のいない私が
戻る場所を作ってくれました。

 

 

 

一人で孤独に押しつぶされそうだったとき
ずっとそばにいてくれました。

 

 

 

毎日10時間勉強をしている時
修論で毎日机に何時間も座っているときも
つねにそばにいてくれた。

 

 

 

不安でいっぱいなときも
泣いているときも
そんなことお構いなしに
可愛い声で甘えにきて忘れさせてくれた。

 


いらいらしているときも
お得意のお尻をあげてこちらに迫ってくる癖で
笑わせてくれた。

 

 

保護施設で
私に甘えてきてくれたから

ちゃこを選ぶことができた。

 

 

 

出会ってから
ずっと留守の時間を最小限にして
一緒にいた。

 

普通の人の何倍も一緒に時間を過ごした。

 

どんなに自分が疲れていても
毎日遊んだ。

 

自分のやりたいことより
つねに猫を優先した。

 


9歳までしか居れなかったけど

 

やれることは全部やりました。
時間も密度も後悔はないです。

 

 

 

ただ最期のちゃこの苦しみだけが後悔。
病院に沢山行ったことが後悔です。

 

でも行かなかったら、それも後悔かもしれませんね。

 

 

ペットの闘病は、どこまでやるか

人の生活をどこまで守るか

ペットぐらいで…といった偏見との戦いもあります。

 

どの選択も精一杯であれば

間違いじゃないですよね。

 

みなさんが思い残すことのないよう

自分を責めることのないようペットの闘病が出来るよう

私は願ってます。

 

 

 

最後にちゃこに。

 

 

 

小さい頃から
もこと仲良しだったね。

 

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狭いところに一緒に入って抱き合って

 

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寒くなるとくっついて寝て

 

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もこを見守っていたり

 

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二匹と一人で仲良しだったね。

 

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もこもきっと寂しいね。

 


寂しいな。

 

 

 

ちゃこありがとうね。

 

おかげで私は本当に救われた。
まっとうな人間になれた気がするよ。

 

これからも
ちゃこに恥じないよう
ちゃんと生きようと思うよ。

 


ずっと愛してます。
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かかった費用

 


〇11月11日

 

再診療    864
皮下輸液料  4,320
制吐剤注射料 2,160

 

計      7,344

 

 

診察料   2,000
薬治料 1,000
注射料 1,300
処置料 12,000
麻酔料 1,900

 

計     19,656