逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッドは自分を言葉で明確に表現しなければならない

人は言葉に出して初めて

自分がどう考えていてどう感じていたかを知ります。

 

 

 

明確な言葉で自分の感覚をうまく表現ができない人が

 

うまく表現ができない
誰かに分かって欲しい

 

そんな強い気持ちが表現の才能となって昇華されることによって

芸術的な才能を持つことがあります。

 

 

 

これは素晴らしいことですね。

 

 

でも心に問題が起きることがあるんです。

 

 

 

 

自分のことをある程度は
言葉で表現できるようになって

 

自分が大まかにどんな人間か分かって

 

その上で感覚的な表現をしていくといいのですが

 

 

自分のことを言葉で表現できないまま
感覚的な表現に没頭すると

 

才能が開花しても、言葉以外の表現で伝わるものがあっても

 

自分で自分が分からないまま

言葉で人に表現できないまま


内面が混沌としたままで

 

自分に対する安心感を持ちづらく

人と分かり合うのが難しくなってしまいやすいんだと思います。

 

 

 

例えば

 

私は無力でひどくかよわい

 

もやがかかった中を歩く操り人形のよう

 

愛は私を生かし、ころす

 

閉じこめられて身動きがとれないまま、もがいている

 


恥ずかしいですが

 

私が心に問題を抱えていた時に

普段から自分のことを表現するために使っていた詩的な言葉です。

 

 

私の言葉はともかくとして


詩的な表現は

人の心に響きやすく、美しく見えますね。

 


でも
自分のことが全くわからない状態で

この表現ばかりをしていると

余計に自分のことがわからなくなって心の状態が悪くなってしまうんです。

 

 

 

それは

詩的な表現だけしていると

自分の思考や感情が分かりづらくなるからです。

 

実際に起きたことや、沸き起こった自分の感情を美しく作りあげて

現実から離れていきます。

 



自分の作り上げた世界に浸り、目の前の現実を見ないようになり

どんどん現実から離れていきます。

 

 

それでも現実を上手く運べるならいいんですが


現実から離れることで現実的な対処ができないため
現実を上手く変えていけない

 

現実から離れることで相手も同じような人としかコミュニケーションがとれない

自分も相手も自分の世界に浸ってるので結局はコミュニケーションができていない

 

 

 

 

こうなってしまうからなんですね。

 

 

 

さきほどの例え

 

「私は無力でひどくかよわい」を

 

このとき感じていたこと、考えていたこと、わかっていたことを
私が今、明確に言葉で表現するとこうなります。

 

 


私は社会適応能力や生活能力が低いから

生活をする上でいつも不安で困ることが多く

人から馬鹿にされやすくてつらい

 

生まれつき感受性が強いから傷ついてばかりで

いつも泣きたい気持ちがある

 

ダメなところがいっぱいで失敗が多くて自信がなくて

いつも助けてほしいと思ってる

 

でも、人より頭は回るし、頼りになるし、逆境には強いところはある

 


こうやって自分を明確に表現すると

 

全体像を捉えられ自分の長所と短所も見え

ただ悲劇のヒロインのままでいることがありません。

 

 

 

私はずっとディスレクシアで

<自叙伝22ディスレクシアの私>


本が読めなかったので語彙もあまりありませんでした。

 

感受性が強いので
すぐ感情的に詩的に表現したくなってしまいました。

 

 


そのせいで
混乱し自分のことが分からなくなり

より感情を大きくしていたと思います。

 

 

 


10数年前から
このブログに書き続けている内容と同じことをわかっていながらも

 

今のように表現できなかったため
外に出せず、フラストレーションは大変なものでした。

 

 


今と同じことを話しているつもりでも
誰にも聞いてもらえませんし、理解してもらえません。

 

自分のなかでは筋が通っているつもりなのに
上手にそれを表現が出来ず、人からは支離滅裂だと言われました。

 

 

 

自分が考えていることを
言葉や文章で理路整然と表現できず

 

外に出したことがないので

どれだけのものが自分の中にあるのか自分でも分かりませんでした。

 


高度な思考力があっても
外に出すことが出来なければ何もないのと同じなんですね。

 

 

 

私はその後

 

ディスレクシアが少しだけよくなり

(ディスレクシアは年齢とともによくなることがあります)

本を読めるようになって語彙が増え

 

大学に入り直し、大学院に進み、論文の書き方を学んだことで
論理的な文章が書けるようになっていき

 

少しずつ

自分の思いを明確に言葉に出来るようになっていき

自分の頭の中のものを文章に書けるようになっていきました。

 

 


そのおかげで


私はずっと頭の中にあった膨大な情報を
吐き出すことができるようになり

 

自分の考えていたことが人に伝わり、評価されるようになり
自分を肯定できるようになりました。

 

頭の中が軽くなり、自分のことがわかり始め、自己肯定感があがり

心がみるみる健康になっていきました。

 


あのまま
私が言葉で明確に表現する方法を学ばなかったら・・・
と思うとぞっとします。

 

 

 

このような経験から

 

ギフテッドの人には

自分を明確に言葉で表現をすることを大事にしてもらいたいと思うんです。

 

 

 


頭の中に詰まっているものが
きっと膨大な量になっているはずです。

 

大きな感情にふりまわされ自分のことがコントロールできず

きっと大変な毎日を送っているはずです。

 

 

 

人との対話やカウンセリングで頭のなかを整理出来ればいいんですが
それが難しい場合は

 

本を読んで語彙を増やすこと

 

文章の書き方を学んで
詩的ではない表現で自分の気持ちや思考、自分をとりまく現実を沢山書いてみること

 

とにかく明確な言葉で外に沢山出してみてください。

 

 

 

 

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