逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

過保護、過干渉で育った人の苦悩

過保護、過干渉で育った人の苦悩は
ずいぶんと軽視されている。

 

私はいつもそう思うんです。

 


過保護、過干渉で育った人は
私のような被虐待児と対極にいると考えられやすいですが

 

そんなことはなくて、とても似た部分があるんです。

 

 


親の保護を一切受けずネグレクトをされた被虐待児の私が


過保護、過干渉で育った人のカウンセリングをし
多くの人の苦悩を理解してきました。

 


被虐待児は可哀想
過保護、過干渉で育った人は恵まれていて甘え

 

こんな誤解が
過保護、過干渉で育ったせいで生きづらい人たちを

余計に苦しめているんです。

 

 

 

 

過保護・過干渉で育てられると

 

先回りして満たされる

自分で感じたり考えたりする前に指示される

部分的に肯定されすぎる

一時的に機嫌をとられすぎるなどが原因で

 

安心して自由に心を成長させていけなくなってしまいます。

 

 

 

例えば

このような悩みを抱えるようになります。

 

 

・自分自身で何かをやる力を身につけられなくなる

 

・自分自身で考える力を身につけられなくなる

 

・自分自身の気持ちで何かを強く求める気持ちを持つことが出来ない

 

・自己愛が高くなり自分は正しいと思いすぎるようになる

 

・感情のコントロールが出来ない

 

・人との距離が取れない。断れない

  

 

 

親に言われたことや目上の人が命令したことをそのまま遂行するので
失敗は少なく、ある程度の結果を出してしまいます。

 

そのせいで
素晴らしい成長を遂げたと人から思われますし

自分でもそう思います。

 

でも本当は心は育っていません。

 

 

 


大人として求められる能力にはどんなものがあるでしょうか。

 


・自分の意見を持つ

 

・自分で考えて動く

 

・自分の感情をコントロールする

 

・人と適切な距離をとりながらコミュニケーションをとる

 


まだまだありますが
主にこのようなことを求められますよね。

 

 

 

そうなんです。

 

社会に出て、他人との関わりを持つようになると
過保護・過干渉に育てられた人は
それまでと真逆のことを急に要求されることになるんです。

  

 

心が育っていないまま
いきなり外の世界に放り出されたら

 

それはそれは大きな衝撃を受け、大きな恐怖を覚え
どうしたらいいかと混乱するのではないでしょうか。

 

 

上手くいっていたはずの人生が
急激に思うようにいかなくなり、転がり落ちる恐怖は

耐えられない思いだと思います。

 

 

 

上手くいかないだけではありません。

 

 

 

人と関わる度に

 


あなたは依存心が高い

 

自分で自分のことが決められない

 

流されやすい

 

面白味がない

 

おどおどしている…などと批判され


全部本人の性格のせいにされてしまいます。

 

 

 

過保護・過干渉で育てられれば誰だってこうなるんです。

 

 


自分のせいじゃないのに上手くやれず人にバカにされる

 

でもその悔しさや怒りは、親には向けられない

 

自分が親から大変な思いをさせられてきたことは
理解されづらく人に話すこともできない

 

 

 こんな苦しみが想像できるでしょうか。

 

 

過保護、過干渉で育った人は
何かと本人のせいだとされがちです。

 


でも
被虐待児と同様
自分の人生を奪われハンデをおったまま人生を送っているんです。

 

 

 

過保護、過干渉で育ったあなた。

 


何歳になってからでも自分は作っていけます。

 

ずっと
閉じこめられていたようなもので
急に自由にされたって不安しかないですよね。

 

でも
忍耐の人生を送っていた間
沢山のスキルを身につけています。

 

あなたの能力は高い。

 


あとは

 

自分で感じる力
自分で選ぶ力
自分で動く力
人生を楽しむ力


こんなものをつけていけばいいんです。

 


大変な人生だったと思います。

 

でも身につけてきたことは無駄じゃありません。

 

あとは
ゆっくり自分をとりもどしていきましょう。