逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッド⑥-ギフテッドの私でよかった-

私がギフテッドであること。


ギフテッドのカウンセリングをする今になって

やっと良かったと思えるようになりました。

 

 

自叙伝で書いているように
私の人生は困難の連続でした。

 


<自叙伝③愛情を与えられずに育つ>
<自叙伝⑱劣悪な家庭環境>
<自叙伝⑲ネグレクトに近い養育>
<自叙伝⑳監視する養父>
<自叙伝㉓性的虐待を受けた私>
<自叙伝㊶中学生でホステスだった私>

 

 

この先にも

天涯孤独で何年もお金に困り住む所に困り追い詰められる時期

 

境界性人格障害を発症し

全く自分をコントロールできなくなり

自己嫌悪に苛まれいつも希死念慮を持っていた時期

 

依存症で心と体をボロボロにして

沢山の時間を無為に過ごし、自分を見放した時期もありました。

 

 


困難な経験は

ギフテッドの感受性の高さにより

 

全てのつらい感覚がよりつらく
そのトラウマも鮮明で何度も恐怖が蘇り人生は怖いことばかりでした。

 

 

ギフテッドであっても
ひどい環境では何とか生きるのに精一杯で


なんの能力を伸ばすこともできず
ダメな奴、ただの変わり者として扱われてきました。

 

 

ギフテッドと発達障害を併せ持ったせいで

高い能力はより高く、低い能力はより低い。


ダメな時は驚くほど馬鹿にされ

出来る時は驚くほど祭り上げられ

 

どうしようもないと見放され

怠惰だ、出来ないのはやらないからだと決めつけられる。

 

 

人の評価が端から端まで急激に変化し二転三転する。

 

 

そのせいで

自分も自分のことが分からず傲慢と卑屈をいったりきたりして

自分に期待しては絶望するジェットコースターのような苦しい日々でした。

 

 

 

こんなに多くのことが重なってしまった私は
ギフテッドのせいで生きづらかったと本当に思います。

 

 

こんな特殊な経験を重ねてきた私は

同じギフテッドとも理解しあえず

偏見や孤独による生きづらさは、これからもずっと続きます。

 

 

でもやっと
私がギフテッドだったからこそ

 

困難だらけの人生でよかった

特殊な経験をしてきて良かった

 

そう思えるようになりました。

 

 

 

もし私がギフテッドでなかったら

多分こうして生き残っていないと思うんです。

 

もし生き残っていたとしても

今のように無事では無かったと思います。

 

 

何度も生きることを諦めようとしました。

誰の助けもなく繋がりもなく究極の孤独の中で震えていました。

狂ってしまうギリギリの感覚を味わいました。

もう抗わないで自尊心を捨ててすべて人に明け渡そうとしました。

 

 

でもその度に諦められず

 

希望を見出して、闘志を燃え上がらせて

現実逃避をして、自分の世界を作り上げて

 

試行錯誤しながら生きてきました。

 

 

本当にひどい人生ではあったんですが

ギフテッドの能力を持っていたおかげで

こうやって試行錯誤して生きてこられたんだと思います。

 

私は幸運でした。

 

 

 

 

ギフテッドは逆境で新しい力を増やしていくそうです。

 

 

私は家族がいない、頼れる友人や知人もいない状況で

人生を自分一人で何とかするしかありませんでした。

 

だから諦めるという選択肢がありませんでした。

 

困難から抜け出すまで

ただ出来ることを探して試し続けるしかなかったんです。

 

この経験のおかげで私は

どんな困難でもあきらめない強さを身につけたんだと思うんです。

 

 

 

私はどこにいても異端でした。

居場所と感じた場所はありません。

 

だから信じる相手も、競う相手も、頼れる相手も

最終的には自分だけでした。

 

この経験のおかげで私は

いつも自分の感覚を信じながら、自分と戦いながら、自分を励ましながら

自分を強く持ちながら生きられるようになったんだと思います。

 

 

 

 

私はどんなに苦しい状況にあっても

人に話せるような内容ではなく、人が理解できる感覚ではなく

誰にも泣き言も弱音も言えませんでした。

 

この経験のおかげで

沢山のことを内側に抱えることができるようになり

強く、内側に情熱を燃やせるようになったんだと思います。

 

 

 

天涯孤独で人格障害で孤独だったので

人との関わり一つ一つが本当に有り難く感じます。

人に側にいてもらうために人の機嫌をとることしかできませんでした。

 

この経験のおかげで

自分と関わってくれる一人一人を本当に大事にでき

目的を果たすためなら下らないプライドを捨てる強さを持てたんだと思います。

 

 

 

絶望が続く日々で

 

いつも自分の状況をユーモアにして笑うしかありませんでした。

疲れ果ててあきらめて楽観するしかありませんでした。

どんなに限界でも明るく元気でいなければなりませんでした。

 

この経験のおかげで私は

どんな時でもユーモアをもって笑顔でいられて

人を明るく元気にさせることができるようになったんだと思います。

 

 

 

他にもまだまだ

私が逆境で身につけた能力は沢山あるんだと思います。

 

 

 

 

能力を身につけただけでなく

 

ギフテッドの私だから

その困難の経験や感情を鮮明に語ることができる

 

 

同じような経験をしながらも

自分一人で耐えている人

言葉に出来なかった人の力になれるんだと思います。

 


どん底から自分の力で立ち上がることができたから
自分で見つけた術を体系的に語ることができるんだと思います。

 

 

 

こんな大変なことが重なった経験をもっても

 

ずっと普通になりたいと思い続け、普通を諦めなかった

一人でやれることをやり続けてきた

人を強く求め続けてきた

明るく元気に振る舞ってきた


こんなことができたのはギフテッドだったからなんだと思います。

 



こんな困難な経験をしたギフテッドの私が臨床心理士になったから
私にしかできないことがあると思うんです。

 

 

これまでの多くの経験があるからこそ

多種多様のトラウマを持つギフテッドの気持ちに寄り添えます。

 

 

 

日常では不便でしかなかった

ギフテッドの特性がカウンセリングでは役に立ちました。

 

 

ギフテッドは高い共感能力を持っています。

 

その上に私は沢山の困難な経験をしてきたからこそ
さらに深く広く共感ができる。

 


ギフテッドは記憶力が著しく分析能力があります。

 

カウンセリングの短い時間の限られた情報を
全て総合して足りない部分を推測して分析することができる。
自分の過去をすぐ忘れてしまう人のかわりに

聞いた話を覚えておいてあげられる。

 


ギフテッドは社会的地位や名誉ではなく
その個人の人間性そのものを見る傾向にあります。

 

だから私は

誤解されやすい人や偏見を持たれやすい人、著名な人、無名な人
すべての人の後光に惑わされず

フラットに話を聞くことができる。

 


ギフテッドは
世の中の真理を知ろうとするので広い知識を持ちます。

心の問題だけに囚われてがんじがらめになっている人に

様々な話をして視野を広げることができる。

 


ギフテッドの特性は私をずっと苦しめてきました。

ギフトなんて思えませんでした。

 

でも今やっと

自分と同じような苦しみを持つギフテッドを救えるようになって

ギフテッドの能力がギフトであると思えるようになってきたんです。