逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッド②-人と上手く話せない-

私は小さい頃から


「何を言っているか分からない」とよく言われてきました。

 

 

言いたいことが全然上手く伝えられなかったんです。

 

 

これが
今になってやっと理由が分かってきました。

 

 

 

ギフテッドの頭の中は
いつも沢山の情報で溢れています。


その中に埋もれている情報を選んで抜き出していくのは
かなり難しいことですよね。

 

 

ギフテッドの人と話していてもみんな同じでした。

 

「沢山ありすぎて短い時間でどれを出せばいいのかパニックになる」

 

本当にそうですよね。

 

 

 

また質問されて答える時

 

細かく場合分けすると答えが何通りもある時に

混乱してしまっていました。

 

 

そんな時に

まるで答えは一つしかないように質問してくるけど
もっと細かく質問してくれないと答えようがない…と悩みます。

 

 

そうやって沢山の中から選択して言葉にするのが難しく

黙ったり、しどろもどろになっていたんです。

 

 

多くの人は
答えを一つしか持っていないようにスパッと言い切れるのが

不思議で仕方がありませんでした。

 

 

 


私がよく人から頭が悪いと思われてきた場面を思い出します。


こうやって人が言ったことを理解できなくて

キョトンとしたり沈黙をしてしまう時でした。

 

 

でもそれは


人が正解だと思い込んでいるものが間違っていたり

色々考えられる事を正解は1つのように言い切っていたり

論理が破綻していて筋が通ってなかったりして

 

いつも私は混乱していたんです。

 

 
私はずっと「人の言葉を理解できない知能遅れ」だと

自分のことを思ってきたし、人にもそう思われてきたんですが

 

しっかりとした理由があったんですね。

 

 

 

 

私の口癖の1つ


「私は説明が下手なので分からないところを教えてください」

 

自分はとにかく説明が下手だなんだと思っていました。

 

でもその理由も今になって分かりました。


普通の人が
何が分かって何が分からないのかが分からなかったんです。

 

 

 

みなさんが人に教えるとき


数学だったら

四則演算が分かっている前提で教えるのではないでしょうか。

 

 

それが分からないと言われたら

そこから?と少し驚いてしまいますよね。

 


そして四則演算から丁寧に教えたら


足し算引き算は分かってるよ

失礼だな、まどろっこしいなと言われたら


教え方が分からなくなりませんか?

 

 

私はこんな感じで


自分と同じくらい分かっていると思うから説明不足になり

次に丁寧に説明すると冗長だと言われ

 

分からないところを教えてもらわないと
上手く説明できないんです。

 

 

それをシドロモドロで、まどろっこしくて、飛躍していて

「頭が悪い」と見られてしまいました。

 

 


ギフテッドは

こうやって頭の中に情報が沢山あって

沢山のことを論理立てて考えることができても


それを出すだけの力が無ければ

頭が悪いと思われてしまいやすいんだと思います。

 

 

 

私が今やっと
こうして思っていることや経験してきたことを

それなりに語ることが出来ているのは

 

少しずつ本が読めるようになって
語彙を増やして文章の組立てかたを覚えて


知識や経験によって

普通の人との会話の仕方を学んだからです。

 

 

ずっと前から今と同じことを考えていたのに
上手く言葉にできなくて

変なことを言っている…と誰にも聞いてもらえませんでした。

 

 

こうやって
自分の頭の中を表現できるようになって

 

やっと自分の中に
沢山のものがあったと分かったんです。

 

 

ギフテッドは
自分の中にあるものを上手に表現をする術を持たなければ

自分は何もない人間だと思ってしまうんですね。

 

 

 

普通の人の頭の中は自分と同じではない

自分は馬鹿なのではなく頭の中を上手く表現できていない。

 

これを理解しなければ
ギフテッドは自信を持って生きることはできませんよね。

 

  

 

また小さい頃は


「なんで?」と聞いてばかりでよく大人に怒られました。

 

小学生の時
教科書の内容より深いところが気になって
授業中に質問ばかりしていつも邪魔だと怒られていました。

 

 

ギフテッドは


知的好奇心が旺盛で
世の中の真理を追究したくてたまらないんですね。

 

 

私は

みんなが楽しんでいる遊びや噂話の面白さが分からなかったし


目の前の狭いことだけを見て

一喜一憂して過ごしている理由が分かりませんでした。

 

 

女子高生のときは地獄でした。


小中学生の時は
スポーツや趣味などに主に没頭している子もいて共感できることもありました。


それが高校生になると
話題は恋愛・おしゃれ・狭い人間関係の話ばかりになります。

 

 

私はそんなことよりも
物事を深く考えて何かを探求するほうが本当にワクワクして楽しかったんです。


いつもうわの空なのにそんな時だけ

急に真面目に熱く語り出してしまってひかれることが度々ありました。

 

 


未だにそこが悩みでもあります。

 


友人との楽しいおしゃべりの時間に

 

ついつい広い世界や、先の話、物事を深く追求して話してしまい


友人には
「話が壮大すぎる」

「深すぎてわからない」
「そんな先の話分からない」と言われてしまいます。

 

 

私からすると
みんなが流行のスイーツや芸能人の話をしているのと同じ感覚なんです。

 


また
話のスピードが早くて頭が疲れるとよく言われてきました。

 

私がリラックスして楽しんで話すと
どんどんスピードが早くなっていって深い話になってしまうようです。

 


普段は

少し緊張して頑張ってスピードに気をつけゆっくり話し

浅めの話をするようにしています。

 

 

今はありがたいことに

付き合いの長い友人は理解をしてくれていて


ストップ!早い!深い!頭が限界だよ

 

こうやって嫌がらずに怒らずに言ってくれます。

 

 

こんなふうに


意識をしないと普通の人と楽しく話すのは難しいんです。

 

ずっと人に合わせてきたので
頑張れば上手に浅い話もできるんですが
これがなかなか疲れます。

 

 

私が寝不足だったり
高熱を出して頭が全く回っていないと感じるとき

 

いつも
「今日は話が分かりやすい」と言われるのはとても複雑な気持ちです。

 

 

ギフテッドの人は普通の人と話す時に

同じような困り事があるんじゃないですか?